初回記事では、商業施設でおこなっている集団接種について聞きましたが、治療の場と生活の場をつなぐ「相澤東病院」では、外来だけでなく、様々な方法で接種をおこなっています。今回は、相澤東病院で新型コロナウイルスのワクチン接種について取りまとめる武井看護部長に話を聞きました。
私たちがワクチン接種に向かいます。
私たちがワクチン接種に向かいます。
「外来でのワクチン接種の他にも、巡回接種や訪問接種をおこなっています」と武井看護部長は言います。相澤東病院では、外来でのワクチン接種に加え、自治体から要請のあった介護施設などに向かい、施設内に接種スペースを設けて行う巡回接種それから普段の訪問診療先で行う訪問接種を担っています。

巡回接種に訪れた相澤東病院スタッフ
巡回接種と訪問接種で課題となってくるのが、数と時間です。ワクチンは一瓶あたりに6回分が収まっていて、開封後6時間以内に使い切る必要があります。6時間を過ぎたものは廃棄しなければなりません。「施設などで暮らしている人が必ずしも6で割り切れるとは限りません。その日の体調もあります。訪問の移動時間や接種後の待機時間を考慮し、調整する必要があります。」
ワクチンの接種後に急変がおこる事も想定しなければなりません。救急救命処置に必要な酸素ボンベや酸素マスク、アナフィラキシーに対応する薬剤などを運び込み、接種後の急変に備えています。「巡回接種も訪問接種も、病院などでおこなっているワクチン接種と内容は変わりません。ですが、病院や集団接種会場とは違い、住宅や施設では、設備や医療者のマンパワーが十分あるとは言えないのです。」

急変時に備えて持ち込まれる医療機器
外出しなくても、リスクは訪れます。
外出しなくても、リスクは訪れます。
「外出が少ない方ですと、感染リスクは低いと思われがちです。しかし、外出の機会が少なくても、誰とも会わずに生活をするのは困難です。生活する上で、家族や身近な人が訪ねてくることがあります。つまり、リスクはゼロではないということ。なかには訪問診療を必要としている高齢者や持病を抱えていらっしゃる方もいて、重症化が心配です。リスクはどこにでもあるので、安心して暮らしていくために、ワクチン接種は欠かせません。」

地域連携の必要性を語る、相澤東病院の武井看護部長
ワクチン接種に留まらず、武井看護部長はこう締めくくる。「独居の方、介護度の高い方、持病等で日々の生活に困っている方はワクチン接種だけでなく、様々なところで支障を来しているかもしれません。そういった方々へ手をさしのべられるよう、これからも地域との連携を密にして自治体などの要請に対応し、暮らしの安心を支える病院として地域に貢献していきたいですね。」