脳卒中脳神経リハ科の取り組み
脳卒中脳神経リハ科は、脳卒中や頭部外傷等で入院された患者さんに対して、入院直後より積極的な急性期リハビリテーションを行っています。また、早期の社会復帰・在宅復帰を目指し、治療と並行して多職種によるチーム医療を実践しています。
脳卒中急性期リハビリテーション
SCU(脳卒中ケアユニット)からの退院支援
相澤病院のSCUには、専任のPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)を配置し、医師・看護師と密な連携を図ることで患者さんの回復を最大限にできるよう急性期からチームアプローチを実践しています。
また、相澤病院の離床開始基準を基に、厳重なリスク管理を行い、入院後の廃用障害や合併症を最小限に抑え、望ましい機能回復を図るための早期リハビリテーションを提供しています。
根拠に基づいたリハビリテーションプログラムの提供
相澤病院は、リハビリテーションセンターも365日体制としているため、脳卒中発症後の急性期リハビリテーションを入院当日もしくは翌日から開始することができ、且つ退院まで可能な限り高頻度のリハビリテーションプログラムを提供しています。また、神経リハビリテーションの理論を基盤として、各種物理療法や装具療法、体重免荷歩行トレーニング等を組み合わせ、脳卒中後の神経症状に対するリハビリプログラムを早期から提供しています。
早期のセルフケアトレーニング
急性期から社会・在宅復帰を目指した長期的な目標設定を行い、早期のセルフケア能力(日常生活動作・歩行・嚥下)の獲得のため、生活行為に着目した介入を行っています。
多職種介入によるチームアプローチ
脳卒中発症後、早期から医師・看護師・薬剤師・栄養士・MSW・PT・OT・STなどの多職種が介入し、それぞれの専門性を発揮することで早期の社会・在宅復帰を目指しています。また、定期カンファレンスでは患者さんの生活背景に合わせた目標を共有し、1人1人の患者さんに沿った治療・再発予防計画を立案しています。
高次脳機能障害に対する認知リハビリテーション
脳卒中や頭部外傷により高次脳機能障害を呈した患者さんに対しては、OTとSTが中心に評価を行い、効果的な認知リハビリテーションを提供することで早期の社会復帰を支援しています。また、地域の就労支援ワーカーとの連携や失語症患者さんとの「友の会」も開催し地域で暮らしている患者さんへの支援も行っています。
神経難病リハビリテーション
パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病の患者さんに対して、在宅復帰を目標としたリハビリテーションを提供しています。
また、適切な機器の選択、在宅でのサービス調整等も医師・看護師・MSWらと協働して行っています。
各種認定資格と対外的活動報告
脳卒中脳神経リハ科では、以下の認定資格を取得した職員が在籍し、効果的なリハビリテーションを提供できるよう日々自己研鑽しています。また、認定資格の取得に向けて職員への教育・サポートも充実しています。
認定資格取得状況
- 認定理学療法士(脳卒中)
- 3学会合同呼吸療法認定士
- LSVT LOUD/BIG
- 認定言語聴覚士(摂食嚥下領域)
- 認定言語聴覚士(失語・高次脳機能領域)
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
- 認知症ケア専門士
- 終末期ケア専門士
- 中信地域糖尿病療養指導士
- 福祉住環境コーディネーター
- ISLS修了 複数名
学術活動
鹿川彰文 | 「HONDA歩行アシストを使用し歩行効率の改善を認めたパーキンソン病の一例」 第14回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス 2021 福岡(Web開催) |
鵜飼正二 | 「Gait Judge Systemを用いた視覚的フィードバックにより歩容の改善が得られたパーキンソン病の一例」 第14回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス 2021 福岡(Web開催) |
丸山拓也 | 「当院における脳卒中再発因子の分析と患者家族教育の課題」 第45回脳卒中学会学術集会 2020 横浜(web開催) |
奥牧美和子 | 「急性期くも膜下出血患者の歩行自立に影響を与える因子について」 第45回脳卒中学会学術集会 2020 横浜(web開催) |
勝野健太 | 「脳卒中ケアユニットにおける誤嚥性肺炎予防の取り組み」 第45回脳卒中学会学術集会 2020 横浜(web開催) |
笠原真紀 | 「急性期脳卒中患者に対する認知関連行動アセスメントの有用性」 第45回脳卒中学会学術集会 2020 横浜(web開催) |
久保村竜輔 | 「Pusher Syndromeを呈した急性期脳卒中テント下病変患者の報告」 第17回日本神経理学療法学会学術大会 2019 横浜 |
塚原千恵 | 「急性期病院における脳卒中軽症例に対する自動車運転評価体制と課題」 第3回日本安全運転・医療研究会 2019 東京 |
鵜飼正二 | 「脳卒中患者に対する早期リハと回復期リハ病棟への早期転棟がアウトカムに与える影響」 第68回日本病院学会 2018 金沢 |
大峽崇之 | 「心原性脳塞栓症患者における当院の離床開始基準の見直し」 第43回脳卒中学会学術集会 2018 福岡 |
奥牧美和子 | 「当院におけるくも膜下出血患者に対する早期離床の安全性の検証」 第43回脳卒中学会学術集会 2018 福岡 |
鵜飼正二 | 「当院における脳卒中リハビリテーションの効果検証」 第43回脳卒中学会学術集会 2018 福岡 |
小林雅之 | 「当院における急性期脳梗塞患者の在院日数に影響する因子」 第36回関東甲信越ブロック理学療法学術大会 2017 長野 |
今井恵 | 「急性期脳卒中患者の治療方針決定に影響を及ぼす因子について」 第36回関東甲信越ブロック理学療法学術大会 2017 長野 |
鵜飼正二 | 「急性期脳卒中転院患者の在院日数を延長させる要因について」 第59回全日本病院学会 2017 金沢 |
塚原千恵 | 「脳卒中急性期における注意評価スケールの有用性の検討」 リハビリテーション・ケア合同研究大会 2016 茨城 |
鵜飼正二 | 「リハセラピストの目標設定と情報共有について-他職種へのアンケート調査からの検討-」 第66回日本病院学会 2016 盛岡 |
久保村竜輔 | 「急性期アテローム血栓性脳梗塞患者における離床開始早期化に伴う安全性の検証」 第57回日本神経学会学術大会 2016 神戸 |
鵜飼正二 | 「急性期脳卒中患者に対する歩行能力の予後予測」(優秀演題賞受賞) 第65回日本病院学会 2015 軽井沢 |
講演・座長
鵜飼正二 | 「パーキンソン病に対する運動療法」 パーキンソン病の薬物治療とリハビリを考える会(武田薬品工業) 2021 松本市(Web開催) |
鹿川彰文 | 「パーキンソン病患者に対するHONDA歩行アシストの使用経験」 第3回パーキンソン病リハビリテーション研究会 2020 松本市 (Web開催) |
鵜飼正二 | 「パーキンソン病患者に対する視覚的フィードバック療法」 第3回パーキンソン病リハビリテーション研究会 2020 松本市 (Web開催) |
鵜飼正二 | 第2回パーキンソン病リハビリテーション研究会 一般講演座長 2019 松本市 |
塚原千惠 | 「考えよう!脳の働きと高齢者の自動車運転」 市民のための医療・介護・福祉講座 2019 松本市 |
鵜飼正二 | 「職域別管理者研修会(急性期) 」長野県理学療法士会 2019 長野市 |
鵜飼正二 | 「脳卒中患者の早期リハビリテーション」 2018 中国河北省 |
古木ひとみ | 「誤嚥予防」 イーライフ ケイエス神林 2017 松本市 |
勝野健太 | 「飲みこみ障害-いつまでも安全に食事を楽しむために-」 2017 山形村 |
久保村竜輔 | 「シーティングの考え方と3大不良姿勢への対処」 地域医療支援病院セミナー 2018 松本市 |
鵜飼正二 | 「中信脳卒中地域連携パス 現状と課題」 第1回信州クリニカルパス研究会 2016 長野市 |
勝野健太 | 「飲み込みの障害-いつまでも安全に食事を楽しむために-」 2016 安曇野市 |
大峽崇之 | 「有償福祉サービス担い手育成講座」 塩尻市社会福祉協議会 2016 塩尻市 |
笠原真紀 | 「コミュニケーション障害と嚥下障害の正しい理解と実践講座」 松本市総合社会福祉センター 2016 松本市 |
執筆・論文
塚原千恵 | 「脳卒中者におけるリスク管理と合併症予防」 作業療法ジャーナル55(8) 2021 |
鵜飼正二 | 「急性期脳卒中患者に対する歩行能力の予後予測」 日本病院会雑誌 2016 |
鵜飼正二 | 「脳卒中患者に対する課題指向型トレーニング(分担執筆)」 文光堂 2015 |
大峽崇之 | 「脳卒中患者に対する課題指向型トレーニング(分担執筆)」 文光堂 2015 |
鵜飼正二 | 「回復期につながる急性期理学療法(分担執筆)」 文光堂 2015 |
教育
鵜飼正二 | 信州リハビリテーション専門学校非常勤講師(脳神経機能障害学Ⅱ) |
久保村竜輔 | 信州リハビリテーション専門学校非常勤講師(脳神経機能障害学Ⅱ) |
古木ひとみ | 信州リハビリテーション専門学校非常勤講師 |