欧米では、「患者経験(Patient Experience)」という概念が普及しています。これは、「患者さん中心の医療」を実現するために生まれた考え方で、一人ひとりの患者さんの価値やニーズに合わせた最適な医療サービスの提供を目指すものです。患者さんは、外来を受診した際や入院治療を受けた際に様々な事柄を「経験」します。「患者さん中心の医療」の実現には、患者さん視点で医療やケアおよサービス、或いは施設・設備、療養環境などを改善していくことが重要です。
相澤病院では、患者さんが「何を必要とし」、「何を考え」、「何を望んでいるのか」をしっかりと把握すること。そして患者さんがこれらを整理できない場合には、その支援に努めることで一人ひとりの患者さんの価値やニーズに沿った医療・ケアの提供をめざしています。そして、患者さんの視点や声を反映させて、より良い病院づくりに取り組んでいます。
患者経験調査
「患者経験調査」は、従来の「患者満足度調査」とは異なり、患者さんが実際にどのような場面で何を「経験」し、それをどのように「認知」したのかという事実(プロセス)に焦点をあてた調査です。そのため、患者さんにとって必要な医療・ケアが提供されているのかを客観的に確認でき、患者さんの視点が医療・ケアの改善に反映されやすくなると言われています。相澤病院では、この患者経験調査を取り入れ、その結果に基づき医療・ケアの改善に取り組んでいます。
相澤病院では、入院患者さん、救命救急センターおよび外来診療科を受診された患者さんに、患者経験調査を適時お願いしています。以下に、調査結果を紹介します。
患者さんの声
患者さんは、病気や怪我によって苦痛や不安を抱え、時には複雑で重要な意思決定を短時間に下さなければならないこともあります。また、患者さんの中には、健康を完全には取り戻すことができない方や障害を負ってしまう方もいらっしゃいます。こうした状況におかれている患者さんは、「病院という特殊な環境」と「患者医療者という特殊な関係性」の中で、ご自身が感じていらっしゃることや望んでいることを、直接、医療者へ伝えられない場合もあるでしょう。
相澤病院では、患者さんやご家族がご自身の考えや望みを医療者へ話しやすい雰囲気づくりに努めるとともに、患者さんやご家族がご意見とご要望を間接的に伝えられる環境整備にも取り組んでいます。
患者さんの権利と義務
私たちは、医療が患者さんと医療者の信頼関係の上に成り立つものであると考えています。この実現には、医療者が患者さん一人ひとりの尊厳と権利を尊重し、患者さんの医療への主体的な参加を支援することが重要です。また、医療は協働作業でもあり、患者さんとして果たしていただきたい責任(義務)を明確にすることが、より良い医療の実践につながるものと考えています。このような考えのもと、「患者さんの権利と義務」に対する皆さまのご理解とご協力をお願いします。